昨年の様子、2021年挨拶と目標のようなもの

新年あけましておめでとうございます。

 

紙の年賀状を送った数は30を下回り、その宛先は紙じゃないと連絡を取れない先輩方、そしてほとんど会うことはなくなってしまったが一時苦楽をともにした人たちという感じになった。逆に今でもFacebookなどのオンライン経由でたまに近況を知る人には紙で出さなくなった。主にその人たちの一部に宛てて、公開という形で書いてみよう。一大学教員の2020年の記録だな。

 

昨年は大変な年だった。これは多くの人に当てはまるだろうが、大学教員も同様だった。もちろん給与は変わらずもらえるのでとても恵まれた部類ではあるのだが。

3月後半に極めて慌ただしく卒業式がなくなり、入学式もなくなり、ZOOMオンライン授業が決まった。授業開始が2週間遅れ、東京五輪の分を差し引いても1回減ってしまった。なので、講読中心の2年ゼミ生に紙の教材を郵送するなど少しの特別対応はあったものの4月はむしろ通勤時間がゼロになったメリットを感じていた。

4月、5月は学部として1年生へのケアが重視された。私は1年生向けの導入教育ゼミでは、夜にオンライン茶会を開き、会の後半で私が抜けて学生同士の交流機会を2度設けたりした。

私は講義教材はKeynoteを使っていたので、ZOOM形式への対応はさしたる問題を感じなかった。けれどもこの生活に下記のようなエクストラ業務が加わり、ボディブローのように徐々に効いていった。

まずエクストラ業務として発生したのが、120周年の学部事業として企画していた「回遊型ゼミ」の企画練り直し、そしてオープンキャンパスのWeb化に伴う学部ビデオの制作ディレクション。制作そのものも一部やったので5月に入ると週に6時間は時間をとられた。

また文科省のルールでは、オンライン授業では毎回課題を出し、その結果をフィードバックすることが求められるので負荷が貯まっていく。すべての人がやっていたとは思えないけどね。通常でも2回に1度はやっていたリアクションペーパーの提出だったがこの分の作業が増えた。

オンライン開催となった6月の人工知能学会に3日出て、けっこうな時間を熱心に聞き、週末に採用面談をオンラインで複数こなしていたころに完全に体がいかれた。ひどい頭痛に襲われるようになった。

前期は何とか乗り切るが、夏休みもオンラインオープンキャンパスに動員される。対応できないご老人は完全に休めて楽でいいなぁと思う。

2期になると、週に1度のある曜日で3コマが対面授業となった。他に2年ゼミは対面回とオンライン回とにわけて、結果的に14回のうち9回は対面となった。というわけで出校は概ね週に1.6回だったことになる。

さて2期のエクストラ業務。今度は2学科体制のWebの制作ディレクション。ちなみに1人でやっているわけはなく、同僚と優秀な外部スタッフとのチーム編成。これはありがたいがコミュニケーションに取られる時間は増える。なんで教員が制作をやっているの? って話でもある。普通の会社なら広報課の仕事だよ。

これに週に4時間はとられたが、その時間があれば卒論3本の朱入れはできる。成果物は下記。けっこう良いものできたと思っている。

東京経済大学コミュニケーション学部|メディア×国際の未来をひらく掛け合わせ

 

卒論指導は毎年のとおりエネルギーが必要だが、その間ちょっとした業務を3つ任され、さらに入試関連の週末業務も多くマジで疲れがたまりました。休みがないので。私たちには代休はない。そして2学科体制の広報責任者にもさせられる。この時期から外部の仕事はすべて断るようにした。また体が壊れるとまずいので。

2期は今年から担当した新規の科目の存在も意外と大きかった。教材は休み中にほぼすべて作っていたが、学生相手に話せる量がわかっていないので、微修正がそれなりにあった。

1.6日勤務で楽じゃないかという人たちはまともな大学教員の仕事が研究であることをしらない人だな。実はこの間、ずっと休まず動いていたのが2カ年にわたる外部研究資金による9つのWeb調査。これの責任者だったので、分析とプロマネをやっていたというのもある。この9つのうちの最後は2021年1月末をもって終了。そして3月に報告書を書いて終わり。これも3人でやっているけど、10万字は超えるだろう。

来年度(今年)はどうなるのでしょう。ともあれ最後に書いた研究成果を書籍にしたいなと思っている。出版は急がずに時間をかけてね。同テーマでは、論文投稿を来週する予定で、英語で書けそうという内容が別に1つある。もうひとつ全然別のやりたい研究テーマもあるのだが、こちらは昨年はまったく手つかず。

でも研究の量は前年比で半分にしようと思っている。アウトプットためのインプットばかりで、つまり研究が労働化していて「これ良くないわ」という感覚があったので。コロナ禍完全終息は考えにくく、また何かやらされるだろうから。

PCのある部屋にいると結局仕事しちゃうのも大問題で、学校や教室に行って、その時間は肉体労働でPCから離れるというのも重要。引き続き、水泳とジョギングはつづけたいと思っている。

当然、自分の生活改善のみならず、世の中が少しはマシなほうに動いてくれればとも思います。

 

では、本年もよろしくお願いします。

 

Internet Skills and Why They Matter

ソーシャルメディア論」の期末レポートとも関係し(本日採点終了)、自分が書いている論文とも関連して、Hargittai & Micheli (2019)で、彼女たちがどうInternet Skillを考えているかを備忘的に。書籍としてはこちら。

https://www.oii.ox.ac.uk/research/books/society-and-the-internet-how-networks-of-information-and-communication-are-changing-our-lives-2nd-edition/

 

Dimensions of Internet Skills

  • Awareness of What is Possible
  • Effective Ways of Communicating with Others
  • Knowledge about Seeking Assisntance
  • The Ability to Find and Evaluate Information
  • Awareness of How Algorithm Influence What People See
  • Understanding and Managing Privacy
  • Understanding Safety and Security Issues
  • Managing Information and Communication Overload
  • Managing One's Digital Identity

 

"Internet" じゃないけど、どのデバイスでInternetを利用するかも入れたいところ。

『ビジネス+IT』インタビューまとめ記事

SBクリエイティブから取材を受け、渡邉さんに記事にしてもらいました。服装からわかるとおり取材は寒い時期でしたが、今般の事情から3月近くたっての公開となりました。ちょうど『ソーシャルメディア四半世紀』刊行から2年。

校正時に昨今のSNSいじめから自殺の件についても少し加筆。前後編合わせて1.1万字あります。ただし各2ページ目は会員登録しないと読めないようです。

特集企画「2030年への挑戦」(https://www.sbbit.jp/article/cont1/35464 )の1つとして、後半は「2030年のメディア」について語っていますが、見出しもやや大げさで、こういうのは大抵外れますのでお気軽に。 

一方アーキテクチャによってなにかと「させられている」人間をやはりアーキテクチャで制御という動きはツイッターを中心に顕在化しており、noteでも投稿前に一息つかせる画面が出たりしてきています。まだまだの動きですが、本での主張が少しずつ実装される動きには嬉しく思っています。

 

前編

www.sbbit.jp


後編

www.sbbit.jp

ZOOMオンライン授業2(講義に関する備忘と感想)

担当している「ソーシャルメディア論」について。リアルタイム双方向スタイルの講義をZOOMでやっています。リアルタイムをやっているのはオンデマンド動画は作った後見直して気になった箇所があり、作り直すととてつもない時間がとられるから。つまり主に教員側の事情でリアルタイムを選択。

ただし少数派なので学生にはアクセントになるし、学生もアリルタイム派とオンデマンド派はお好みが別れますので、独りよがりではない。オンデマンドだとどうしても説明説明してしまい、その時の気分や流れで話すことが少しずつ変わるライブの方が面白いとも思う。それは積み上げ型の学問体系を持たない分野という事情もある。

 

履修登録者は最大104名であったが、履修登録確定時点では81名に。要因はいくつか考えられる。まずは携帯電話回線のみしか自宅にはない人たちが数人抜けた可能性あり。「私の授業に月1.5GB使えますか?」と問いかけましたので。「ちなみにこの科目は選択科目なので、来年度に受講という選択肢もありますよ」とも申し添えた。

また「400字程度ではあるがほぼ毎回レポートを書いてもらいます。その場合、入力スピードとは別にPCの方が良いものが書けると思います」ともコメントしたので、スマホオンリーの受講者が減った可能性もある。ただし「一番話を聞いて欲しいのはスマホだけでいままでほとんどのことを済ませてきた学生」とも言ったので、逆に頑張ってスマホだけで聞いている学生もいるかもしれない。大学が5万円の補助を出したのでこの際PCを買った学生もいるだろう。

ちなみに例年通り、初回授業で「あなたたちがこの3日で使ったウェブサービス、アプリを最大10、思い出して書いてください」を第1問、「それぞれのサービスやアプリを使った端末をすべてチェックしてください」を第2問としてアンケートをとった。昨年はすべてスマホで利用という学生の比率が53%であったが、今年はZOOMはPCで、レポートも自宅のPCでという流れがあるので、その比率は29%まで下がった。PCとスマホってやはり違うよねと気づいて欲しいところ。

プリンタは4割近くの学生が自宅に持っていなかったので、PDF資料はA4に2スライドバージョン(画面で見る用)と6スライドバージョン(紙に印刷する用)とをアップロードしている。

ゼミ生情報によると、紙に印刷できない人は画面で私がライブ配信しているスライド見ながら、スライド番号とそれに対応するメモを紙にとっている。最強かな、と思ったのは、古いiPadライブ配信されている動画やスライドを見ながらもう1台のPencil対応の新iPadで手書きメモを画面上に写された事前配布PDFに直接とって(書き込んで)いるというもの。

私は画面共有をZOOMで行うとときには、スライドが受信者の全画面を塞がないようにしている。すなわち画面共有時に(特定のアプリケーションではなく)「デスクトップ」を選択して、私は自分のデスクトップの右3/4をつかってスライドを表示している。なので、実は13インチのPCを使っている人であれば、スライド以外の画面上にエディタの小ウィンドウを配せば、キーボード入力でもメモはとれる。でも自分もそうだが、変換が気になると話を頭に入れながらのキーボード入力はけっこう難しい。

 初回は「反応がわからないのでなるべく顔出しして」と頼んだら2割ほどが顔出ししてくれたが、とある教員から「学生は顔出しをいやがりますよ」と言われたのと、学生から「ビデオをオンにして、変な動きをすることで目立とうと思っている学生がいましたよ」(初回授業で慣れていなかった私は気づかず)と言われたので、2回目から学生の入室時にはデフォルトでビデオオフにした。そうしたら本当に顔出しがゼロになってしまった。だから本当に反応はわからない。提出されたレポートを見る限り、例年と理解度は変わらない印象。

 

細かな点としては、以下。

  • 5限の開講なので150名を超えるような同時接続ではない。他の講義の同時開講数も少ないので、LMSの負荷も高くない。これは幸運。
  • ZOOMのアーキテクチャを理解して、CPUパワーのある15インチMacBook Proを有線でネットに接続。加えて31インチのデュアルモニター使用。音声をクリアに伝えるためにヘッドセットでノイズキャンセリング機能つきマイクを使用。
  • ZOOMの設定「一般」でデュアルモニターの使用は必須
  • 「ビデオ」でマイビデオをミラーリングしてはダメですよ。学生からは文字が裏返りますから。ビデオに常に参加者名を表示はオン。
  • ゼミ学生に「たまにスライドに動きを入れた方が良い」と言われたので、画面共有時に通常は「デスクトップ」を選択するが、そこから「キーノート」の再生機能のボタンを押して、もともとキーノートに入れていたアニメーションを使うこともある。
  • しゃべりは35分2セットとして休憩を5分入れている。だから開始後5分でしゃべり始め、35分、5分休憩、35分でだいたい10分前に終了。
  • そこから授業内小レポートとして400字の課題を出すのだが、聞いているそのままの勢いで書き始める学生は少ない。翌日19時までの締切を睨みながら、授業当日の夜などに仕上げる学生が圧倒的に多い。
  • 途中でなにかの事情で配信不能となった時に備えて授業冒頭に「本日のメッセージ」というスライドは加えた。「本日のメッセージ」と事前PDFを見れば、レポート課題は半分は書ける。教科書を読めば確実に書ける。なお通常進行では、レポート課題は授業後半開始時点で開示。
  • 成績評価は授業内レポートと、期末レポートのみでテストをするのはやめたので、授業は聞かずにレポートだけを出してくる学生もいる。まったく的外れなことを書いてくる人もいるし、教科書を抜き書きしてそれっぽく書いているが、要求されたことにまるで応えていない人もいる。授業を聞かないとまともなレポートが書けないということを理解した人で、ほぼ毎回出るのはかったるい、あるいは無理と判断した学生は履修をやめたのだろうが、それがわからないボンクラは堂々とレポートを出してくる。

情報機器音痴でもないし、しゃべりがボソボソでわかりにくい訳ではないし、仕事で鍛えられたからスライドは見やすく練られた文章で文字量も少ないし、だから学生はスライドを補完する話をそこそこ聞くし、昨年までも事前にスライド配布をオンライン経由でしていたし(ただし昨年までは一部で、今年は全部)、ほぼ毎回小レポート書かせて採点・フィードバック後に次の回に進んでいたし、大きな変化はまるで感じない。

ただ聞ける感想がゼミの学生からだけなので、前述の印象は大きく外している可能性はある。