Dark Social ふたたび

以前のエントリーで、Business Insiderのサイトへは69%がDark Socialによるアクセスで、Facebookは20%と紹介した。またこの69%という高い比率が、アメリカないしはカリフォルニアの軽い会話や各種ソーシャルメディアボタンの普及からずいぶん意外に映ったという感想も述べた。なおDark Socialとは、誰かが任意のURLを電子メール、チャット、ソーシャルメディアなどにコピー&ペーストして紹介して、そこから当該サイトやページにアクセスしたトラフィックを指す。通常のアクセス解析ではリファラーなしのDirect Accessとなってしまうものだ。


それに関連するDark Social: The Key to Understanding Content Sharingという昨年12月の記事に出会ったので少々。


記事中1つめのグラフはBusiness Insiderの話で、Sharing Buttonからのアクセスは18%で、Copy & Paste Sharingは残りの82%というもの。後者を分解すると、69%がe-mailで、20%がFacebookというのがこのエントリーの冒頭でも繰り返した数字だ。つまり0.82*0.69=56.6%ほどが電子メール経由のソーシャルなアクセスになっているわけだ。比較的似たニュースサイトであるAtlanticの数字が紹介されていたが、Dark Social全体で56.5%。仮に70%がe-mailだとすると40%となる。


これがOnline Marketingについての専門的なブログになるとどうなるかというのがDark Social: The Key to Understanding Content Sharingの新しい所で、Social Trafficのうち37%がDark Socialで一番多いことが判明したという。次点はTwitterの19%、Facebookは18%となった。専門性が高い分、Interest GraphのTwitter経由が増えているようだ。なお筆者のTristán ElóseguiがDirect AccessからDark Socialを切り出すために使ったのは、トップページのURLではない、個別エントリーを指すめったやたらと長いURL(パーマリンク)は他の誰かに教えてもらってもらったものだろう(つまり自分ではタイプしない)という仮定である。


結論となるすべてのトラフィックの構成比を示したグラフが以下である。f:id:sameo:20130320032059j:plain
すなわち、Organicが39%で最大だが、Dark Social を加えたSocial全体は18%から29%にまで増えて、順位も3位から2位になるよということである。


さて、敏感な読者は僕が電子メール経由のアクセスにこだわっていることに気づくかもしれない。そしてその感覚は当たりである。では、なぜ僕がDark Socialのうち電子メール経由のものに注目するかといえば、以前のエントリーでも書いたが、そういう私信で紹介されたURLは多くの場合適切で、時にアイディアの大きな前進をもたらすからだ。


そういう意味では、このTristán Elóseguiのタイトルにある「Dark Social がシェア理解のカギ」という点には賛成だが、Dark Socialを普通のSocialに加えて終わりの彼の分析は物足りない。Dark Socialは独立して扱うべきで、おそらくアクセスした記事を読んだあとのアクションについてDark Socialの効果の高さを語るべきだろう。むろん、それはかなり難しい話だけど、やがてそういう話になっていくと思う。一手間かけた特定少数へのシェアこそが本質を失っていないシェアだと思う。


ところで、日本のサイトについてのDark Social比率を誰か調べてくれないかなぁ。アメリカと数字を比べてみたいんだよね。