ZOOMオンライン授業1(ゼミに関する備忘と感想)

所属学部の教員メーリングリストへの4月8日投稿を改変して公開。ゼミ編です。学生は6名から14名と少数。使用アプリはZOOMのミーティング(100名までの同時双方向接続)。ハードウェアはMacBook Pro

 

■学生の接続まで

ここでZOOMなどのウェブ会議システムとは別系統のコミュニケーション回路を持っておくことが極めて重要。LINE、電子メール、携帯電話など。一般的にmanabaなどのLMSは負荷耐性がクラウドサービスより低いので当てにしない。

教員が少なくとも自学部学生に公開して問題のないものとして電子メールアドレスが現実的なので、そこへ事前にメールを学生から送ってもらえれば、返信ができ、ウェブ会議システムへの接続トラブルへ対応できる。

なおわがゼミの場合はSlackをコミュニケーションツールとして導入しているので(人別の履歴が辿りやすく、学生にとってはほぼゼミ専用ツールになるため、LINEの中での他情報に紛れ込むこともなくなる)、2年生以上は何らZOOM接続には問題なし。事前でSlackでインストラクションの文章を送っておいたので。

2年ゼミで1名だけやや接続に手間取るが(接続できても切れてしまう)原因は自宅内のルーターWifiでつなぐ(遠隔授業を受ける)PCとの物理的距離が遠かったからだと思う。このパターンはそれなりにあると思う。ノートPCを持ってルーターそばに移動してもらったら接続できた。

初顔合わせの1年ゼミでも全員、授業開始10分前からミーティングに集まり出し、授業開始後3分で全員接続。つまりZOOMのUIはかなり秀逸と言えよう。結果的に履修者と直接のやりとりができるLMSのmanaba(ZOOMよりはるかにシステム的に脆弱)でのインタラクションは発生しなかった。

これは幸運な部類だと思う。1年生で14人いると、そのうち1名、2名は接続できないのが他のクラスの事例から標準的。また自宅まで専用線が来ていない携帯電話回線利用の学生も1割ほどおり、データ通信量の問題が発生する。

話を戻すと、この別系統のコミュニケーション回路を持っておかないと「詰む」。その学生がどういう状態かがわからないわけですから。これが何より大事。どうそれを作るか頭を使うべし。

教員の中には、LINEのOpenChatでグループ作って、割り当てられたURLの2次元バーコードを発行して、それをmanabaに貼りつけてLINEのグループを授業初回前に作っていた(1年生向けゼミで)。

 

■接続状態
古いPCで不安という学生がいたが、音声+映像でも問題なし。結局90分ほど画面共有で私がスライドの説明をしているときもずっと映像ありで実施。学生側もミュートにせず、音声を拾う形式でやったので、チャットは実質的には使わず。「いいですかー、質問です」という音声で学生が私に話しかけられたので。

映像をオンにしておくと、挙手を学生にさせることでさまざまなことが映像で確認できるというメリットがあり。ただし大人数講義だと、自宅を映したくない学生が少なからずいるので、ミーティングへの入室時に「ビデオはオフ」で、とアドバイスを受けた。 

 

■ZOOMの使い方の指導
「ミュート」「ビデオの停止」「反応」「チャット」「画面共有」
「ギャラリービュー」と「スピーカービュー
の説明はすんなり終わり、理解もされた。このあたりは学生の方が得意とするところでしょう。

ただし学生側の「画面共有」は1週目では行わず。

 

■画面共有
大きな問題はなくクリア。

ただ私はノートPCのスクリーンの他、第2スクリーンを使っており、第2スクリーンに学生たちの顔をギャラリービューで映していたせいもあり、ホスト(私)が画面共有中なのか、そうでないのか忘れてしまうことがあった。つまり学生はスライド画面を見ているのに、私がカメラに向かって「こうやるのだよ」とジェスチャーとともに話している状態。学生はそのジェスチャーが見えていないわけ。

ただしこのあたりは慣れの問題。ノウハウとしては、カメラのある第1スクリーンにギャラリービューで学生の顔を出しておけば、画面共有時にはそのギャラリービューは小さく表示されるので、自分がいまスライドなりを学生に見せていることが容易にわかる。今はこのパターンに落ち着いている。

ノウハウをあと2つ。

画面共有は特定のアプリケーションを選択するよりも特定の「デスクトップ」を選択した方が良いと思っている。こちらのほうがアプリケーションをカチカチ素早く切り替えられる。またエクセルとワードといった複数アプリケーションを同時に見せることもできる。

ということで私はキーノート(というアプリケーション)を選択してスライドショーを使って画面共有はしていない。31インチの第2スクリーンの「デスクトップ」を画面共有では表示している。写真のように学生に見えている。

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キーノートは「ナビゲータ」表示を使う。左端に現れる前後のスライドは小さく表示して、選択スライドを大きく表示。こういう表示方法にすると、カーソルを動かして「このあたりをしゃべっているよ」ということを伝えられる良さもある。

右側にワードを立ち上げておき、音では伝わりにくい、難しい漢字などの表記の場合はワードにテキストで打って伝える。

結構スペックの高いMacBook Proを使っていてもスライドショーは途中で1度動作が遅くなり、スライドショーから抜けるのに手間取った。PDFファイルにすべて書き出しておいてスライドショー、あるいはキーノートのスライドショー機能でもアニメーションは一切使わないと割り切る方が良いかのしれない。まだ他の方のケースも見てから要検証の項目。

 

■チャット
この機能を多用する学生が多いとそれなりに注意力を消耗するだろうと思う。今週は前記のとおりで実質利用なし。学生の人数が増えてくるとどうしてもチャット利用は増えてくるのでは。

 

■ギャラリービュー/スピーカービュー
ゼミであれば、学生からすると全員の顔が見えている(今回は全7名〜15名でしたので)ギャラリービューの方が良いと思われます。ただしこれもチャットと同じように人数が多く(20人を超えてくるあたりか)なるとホストが注意を払うのが難しくなっていくと思います。

 

■その他
Zoomで3時間(3コマ)続けてやるとかなり疲れる。私は購入してしまったのですが、マイク付きヘッドセットでやると没入感が高く、「マジ疲れるー」という感想。同様の感想は私のまわりですでに遠隔会議を1ヶ月程前から多用している友人から多数聞こえてきています。

私はiPadもあるので、それにZOOMへ視聴者(ホストでない人)として参加すれば、学生がどう見えているかは常に確認できる。ただしiPadからは音声が聞こえないようにしておき、マイクも切っておく必要がある。ハウリング対策である。

 

2019年度 大学生に見られた変化

今年度接触した平均的な文科系大学生と思われる人たちに見られた変化などを備忘的に書いておく。

 

1年生の自己紹介で「趣味はYouTubeを見ることです」という人たちが出てきた。私たちが今行っているモバイル動画視聴の調査研究でも明らかなように、音楽とプロエンタメコンテンツを見ているケースが多い。少し減るがいわゆるUGC派もいる。また「趣味はYouTubeを見ることです」とは言わない学生が、少数派だが、受験勉強の延長で動画を学びの素材としているケースがある。

 

キーボード入力がまったくできないに近い1年生が増加。そのうちパソコン&タブレットスマホではできることが違うという認識のある学生は、会社に入った後の主たる生産の道具が依然としてパソコンであることも意識して、MOS (Microsoft Office Specialist) の資格をとりたいと1年次から言う。こんな人たちが出てきたのも今年から。

 

ただし入学後もフリック入力だけですべてを済ます学生もいる。授業中にPCを起動させて大画面のWeb検索で検索テクニックを教えながら調べものをさせても、結局スマホで検索しているのがそういう学生。キーボード入力できないからそうなる。15インチのノートPC画面にフリック入力用のソフトウェアが表示されるというツールが必要になるのではないか(もうあるかもしれないけど)。

 

ちなみに数は少ないが他大学に非常勤講師で教えに行っている人などの話から推測すると、文系学部で授業のメモをPCでとっている学生の比率がグンと上がるのは私立で言うと早慶レベルかららしい。それについては私は紙(ノート)にメモでもぜんぜん良いのでは派である。でも今、自分が学生だったらタブレットでPDFを見て、それにApple Pencilみたいなもので手書きで書き加えていくと思う。

 

使用端末という観点では、今年の4年生にスマホだけで就職活動の情報収集を行う学生がいて(この学年は「春から○○高校の人、LINEで集まれ」第1学年です)、その人は結局この売り手市場のなか内定なしだった(サンプル1です)。彼らとて小さい画面では調べ続けることはできず、情報量で負けていた感じだし、出会ったいくつかの会社の説明会に行って、その中のベストと感じたところで手打ちということを考えていた結果が前述のとおりだった。たんなる楽したがりがすぎるだけなのか、スマホだけというデバイス利用が影響した結果なのかは不明。

 

2年生、3年生の授業時に80名ほどを対象にとった簡単なアンケートでは、相変わらず4大アプリがスマホでは強い。利用時間の長いものということで、LINE、TwitterYouTubeInstagram。ただし昨年と違って利用時間の長い5位にGoogle検索アプリが入ってきた。検索窓の下にあるニュースなどの検索履歴を考慮したコンテンツを見たり読んだりしているケースが学生でも増えている。もちろんゲームやマンガアプリにドはまりしている学生もそれなりに。

 

スマホオンリーのデバイス・デバイドという問題はそれが事実ならヤバいと私は考えているが、もう一つ危険な兆候と捉えているのが「有名になりたい」タグ。大した才能も努力の覚悟もないくせに、それなりのテクニックでSNSでフォロワーを増やすことは可能になったので、こういうことを能動的な語彙として発する学生が増えている。「立派に」や「まともに」や「金持ちに」とは別の語彙。結果として有名になるのではなく、という話。

 

実際、読モになったりというケースも身近にいる。狭い領域でも5年間高い評価を維持するのは難しいことであると私は経験してきているので、そういった「有名人」が28歳でどうなっているかは興味深い。これまでどおり消費されて捨てられるのか、そうではなくて小さいグループに支え続けられるようになるのか。もちろん本人が「有名」時代に得た学びの量、自省能力、分野や小さいグループを構成するメンバーの経済力にもよるのだろうが、マクロ的に見た場合にどうなのかはとても興味深い。

 

実は、他の教員と学生の研究テーマについて雑談していて思ったことは、00年代半ばから後半にけっこうあり、その後あまり多くなくなり、最近また増えて来た学生の研究テーマは、これだということ。小さなコミュニティ(とそのサステナビリティやガバナンス)というようなもの。小さなクラフトビール会社とか、地下アイドルとか、そこそこ人気のYouTuberとか、ファンベースのマーケティングとか、全部これなんじゃないかと思えてきた。

 

マーケティングの世界では、Digitally Native Vertical Brand(DNVB)ということばもあるそうで、そういう意味では20代の関心というか感じ方が、また10年前とはちょっと変わってきて、金だけではないネットや実世界に向かい始めたのかな、と思っている。

News Use Across Social Media Platforms 2017

www.journalism.org

雑記です。

 

2016年から2017年にかけて、ソーシャルメディア(経由)でのニュース閲読/視聴は、50歳以上、非白人、学士を持っていない人で増加。非学士で69%なのでかなりのカバー率。2015以降はアルゴリズムとか良くわかっていない層が増えているのは確実。

 

とはいえFacebookは飽和状態で、ニュースソースとしての利用はTwitter, YouTube, Snapchatが増加。

 

が絶対量で見るとFaebookダントツ。米国人の66%がそれを使い、うち45%はそこからニュースを得ている。それで絶対量の二番手はYouTube。動画の時代かぁ。率で見ると、Twitterが15%がサイト利用でそのうち11%がニュース入手と最も高い11/15=73%。

 

アメリカではTwitterFacebookの利用者年齢は近いのだな。ただしツイッターの方が高学歴。恐らく情報系と会話系ということなのでしょう。Facebookは女性の方が利用者多いし。

 

Snapchatは若すぎ。Instagramの方がやや若い程度。女性が6割ほどという点は両者共通で、非白人比率が高い点も共通。テキスト文化ってアングロサクソン文化なのかなぁ。

 

LinkedInは白人高学歴なのは当たり前。私は使っていません。