2019年度 大学生に見られた変化

今年度接触した平均的な文科系大学生と思われる人たちに見られた変化などを備忘的に書いておく。

 

1年生の自己紹介で「趣味はYouTubeを見ることです」という人たちが出てきた。私たちが今行っているモバイル動画視聴の調査研究でも明らかなように、音楽とプロエンタメコンテンツを見ているケースが多い。少し減るがいわゆるUGC派もいる。また「趣味はYouTubeを見ることです」とは言わない学生が、少数派だが、受験勉強の延長で動画を学びの素材としているケースがある。

 

キーボード入力がまったくできないに近い1年生が増加。そのうちパソコン&タブレットスマホではできることが違うという認識のある学生は、会社に入った後の主たる生産の道具が依然としてパソコンであることも意識して、MOS (Microsoft Office Specialist) の資格をとりたいと1年次から言う。こんな人たちが出てきたのも今年から。

 

ただし入学後もフリック入力だけですべてを済ます学生もいる。授業中にPCを起動させて大画面のWeb検索で検索テクニックを教えながら調べものをさせても、結局スマホで検索しているのがそういう学生。キーボード入力できないからそうなる。15インチのノートPC画面にフリック入力用のソフトウェアが表示されるというツールが必要になるのではないか(もうあるかもしれないけど)。

 

ちなみに数は少ないが他大学に非常勤講師で教えに行っている人などの話から推測すると、文系学部で授業のメモをPCでとっている学生の比率がグンと上がるのは私立で言うと早慶レベルかららしい。それについては私は紙(ノート)にメモでもぜんぜん良いのでは派である。でも今、自分が学生だったらタブレットでPDFを見て、それにApple Pencilみたいなもので手書きで書き加えていくと思う。

 

使用端末という観点では、今年の4年生にスマホだけで就職活動の情報収集を行う学生がいて(この学年は「春から○○高校の人、LINEで集まれ」第1学年です)、その人は結局この売り手市場のなか内定なしだった(サンプル1です)。彼らとて小さい画面では調べ続けることはできず、情報量で負けていた感じだし、出会ったいくつかの会社の説明会に行って、その中のベストと感じたところで手打ちということを考えていた結果が前述のとおりだった。たんなる楽したがりがすぎるだけなのか、スマホだけというデバイス利用が影響した結果なのかは不明。

 

2年生、3年生の授業時に80名ほどを対象にとった簡単なアンケートでは、相変わらず4大アプリがスマホでは強い。利用時間の長いものということで、LINE、TwitterYouTubeInstagram。ただし昨年と違って利用時間の長い5位にGoogle検索アプリが入ってきた。検索窓の下にあるニュースなどの検索履歴を考慮したコンテンツを見たり読んだりしているケースが学生でも増えている。もちろんゲームやマンガアプリにドはまりしている学生もそれなりに。

 

スマホオンリーのデバイス・デバイドという問題はそれが事実ならヤバいと私は考えているが、もう一つ危険な兆候と捉えているのが「有名になりたい」タグ。大した才能も努力の覚悟もないくせに、それなりのテクニックでSNSでフォロワーを増やすことは可能になったので、こういうことを能動的な語彙として発する学生が増えている。「立派に」や「まともに」や「金持ちに」とは別の語彙。結果として有名になるのではなく、という話。

 

実際、読モになったりというケースも身近にいる。狭い領域でも5年間高い評価を維持するのは難しいことであると私は経験してきているので、そういった「有名人」が28歳でどうなっているかは興味深い。これまでどおり消費されて捨てられるのか、そうではなくて小さいグループに支え続けられるようになるのか。もちろん本人が「有名」時代に得た学びの量、自省能力、分野や小さいグループを構成するメンバーの経済力にもよるのだろうが、マクロ的に見た場合にどうなのかはとても興味深い。

 

実は、他の教員と学生の研究テーマについて雑談していて思ったことは、00年代半ばから後半にけっこうあり、その後あまり多くなくなり、最近また増えて来た学生の研究テーマは、これだということ。小さなコミュニティ(とそのサステナビリティやガバナンス)というようなもの。小さなクラフトビール会社とか、地下アイドルとか、そこそこ人気のYouTuberとか、ファンベースのマーケティングとか、全部これなんじゃないかと思えてきた。

 

マーケティングの世界では、Digitally Native Vertical Brand(DNVB)ということばもあるそうで、そういう意味では20代の関心というか感じ方が、また10年前とはちょっと変わってきて、金だけではないネットや実世界に向かい始めたのかな、と思っている。

News Use Across Social Media Platforms 2017

www.journalism.org

雑記です。

 

2016年から2017年にかけて、ソーシャルメディア(経由)でのニュース閲読/視聴は、50歳以上、非白人、学士を持っていない人で増加。非学士で69%なのでかなりのカバー率。2015以降はアルゴリズムとか良くわかっていない層が増えているのは確実。

 

とはいえFacebookは飽和状態で、ニュースソースとしての利用はTwitter, YouTube, Snapchatが増加。

 

が絶対量で見るとFaebookダントツ。米国人の66%がそれを使い、うち45%はそこからニュースを得ている。それで絶対量の二番手はYouTube。動画の時代かぁ。率で見ると、Twitterが15%がサイト利用でそのうち11%がニュース入手と最も高い11/15=73%。

 

アメリカではTwitterFacebookの利用者年齢は近いのだな。ただしツイッターの方が高学歴。恐らく情報系と会話系ということなのでしょう。Facebookは女性の方が利用者多いし。

 

Snapchatは若すぎ。Instagramの方がやや若い程度。女性が6割ほどという点は両者共通で、非白人比率が高い点も共通。テキスト文化ってアングロサクソン文化なのかなぁ。

 

LinkedInは白人高学歴なのは当たり前。私は使っていません。

 

 

 

 

Mary Meeker Internet Trends 2017 Memorandum

Smartphone Unit Shipmentは15億台弱で、2016年の対前年成長は3%まで低下(p.7)

Smartphone Installed Baseは28億台。対前年12%(p.8)

アメリカでのDesktop/LaptopのTime Spentは変わらず1日2.2時間。Mobileは伸び、3.1時間(p.9)

Adblock Penetration Germany Desktop28%, Mobile1%, India Desktop1%, Mobile28%, Indonesia Desktop8%, Mobile58%, Japan Desktop3%, Mobile n/a. (p.18)

Share of Retail paid clicks on Google, USA 52%と上昇(p.21)

Pinterestは商品のBrowse & Buyの場所として力を増す(p.22)

Google Lens will provide greater context of images. 写真撮影でその店のReviewが、その花の名前が。(p.43)

20% of Mobile Queries made via voice(p.46)

Amazon Echo Installed Base, USA 1100万台(p.47)

Allbirdsの靴は顧客の要望を取り入れ、選択肢を少なくして成功(p.61)

Unwrapping Boxes becoming Entertainment(p.67)

Lowe'sではGoogleのARを借りて、店のどこに写真の商品があるかを紹介して,誘導(p.70)

26億人のGamer(p.81)。それはやりようによっては学習にも使える。

Gamificationの例:Duolingo(edu), Mango Health(personal health), Acorns(Personal Finance), myfitnesspal(exercise)(p.128)

Data Volume, 2015 12ZB→2025 163ZB(p.132)

eSportsがミレニアルには人気(p.140)

Spotify Subscribers, 5000万人(p.157)

IT infrastructure spend, GlobalはTraditional Data Centerが2013の76%から2016は63%へ。残りはCloudへ。(p.181)

Public Cloud Respondent Running Applications, 2017. AWS57%, Azure34%, GCP15%, IBM8%.(p.182)

Internet Trafficの半分は人だが、半分はボット(p.192)

2016 China Mobile Internet 140分/日でTVより多い(p.203), WeChat, QQ, GamesなどTencent Groupのアプリが利用時間の7割を占める。(p.204)

China on demand bikeの市場がでかい(p.214, 215)

China Mobile PayはAli Pay54%, WeChatPay40%でここではAlibabaグループがリード(p.219)

Street foodの1ドル前後、数セントのチップとしても払われる(p.221)

China Mobile BtoC eCommerceがすごい。流通額5000億ドル=55兆円日本の3.6倍。ただしDesktopはすでに減少。(p.225)

China Online Advertising 2016, 400億ドル、4兆4000万。日本の4倍。

India Smartphone sihpmentが携帯電話全体の半分超えてきた(p.237)

India eCommerceはまだ混戦。(p.248)

Indian Payment Paytm, 2017年3月2億1500万登録者(p.263)