『つながりを煽られる子どもたち』
つながりを煽られる子どもたち――ネット依存といじめ問題を考える (岩波ブックレット)
- 作者: 土井隆義
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/06/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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学生に紹介した手前、自分も手に取り、喫茶店で読みました。うすうす感じていたこともありましたが、他にも、いくつか知らなかった事実もあり、論理展開には概ね納得させられました。
- 2000年代に入り、「友人や仲間に悩みや心配を感じる」人が増加傾向。そして同時に「充実感を覚える」人も増加傾向。
- 16−19歳の「親友」「親友以外の仲の良い友だち」「知り合い程度の友だち」の合計値は2002年66人から2102年125人へ。最後のカテゴリーの伸びが大きい。そして、分散が大きくなっている。つまり使い分けされるような友人数における格差が拡大。
- 拠り所となる価値観は消失し、回りの人からの承認の相対的重要さが上がる。だからあえて嫌われるようなリスクは取りづらくなる。したがっていつも一緒にいるメンバー(イツメン)とて、必ずしも心を許しあえる関係とはいえない。
- 「自分がダメな人間だと思うことがある」高校生の比率は高まっている。
- ティーンの子を持つ親の経験した環境と今の子の経験している環境は30年前の親子が経験した環境の差ほど大きくない。これが一面では親子関係の良好さの上昇に現れているが、それは親と子どもの間でも承認を求め合う関係となっているということでもある。そして親は子どもに「友人を大切にする人」になることを望む。
- だから友だちにしろ親にしろ、「親友以外の仲の良い友だち」「知り合い程度の友だち」のマネジに注力する。質ではなく、量を増やしそこから「イイね!」の数を増やすという話。だからスマホ中心に「つながり依存」これは「コンテンツ依存」とは別。
- いじめについて言えば、イツメンが予想外の行動をしたらどこでも起こりうるものになっている。明らかに異質な者に対するものではなく、危ないながらも均衡していたメンバーの調和が乱された瞬間どこででも起こる。