*[Web,Media]Google Search Plus Your World

1月10日にGoogleがSearch Plus Your Worldを発表した。

http://googleblog.blogspot.com/2012/01/search-plus-your-world.html

 

 3つの機能、1:Personal Results, 2:Profiles in Search, 3:People and Pages がある。もっとも本質的な機能はPersonal Resultsであるが、これについてはこれまでのSearchの結果もオプションで残される。したがってそんなに大騒ぎする話でもないと思うのだが、日米でかなり話題になっている。というのも、Google+が次のGoogleで、これまでのGoogle Searchは「Google+を中心に据えたWeb」の検索機能になり下がるべし、という同社の戦略の具体像が見え始めたからだ。

 

 ここでは複数の論考を読んでの現段階での感想を2つ書く。

 

 まずは各所で出てくるGoogleはこれまでPeopleには注意を払わず、やっと今回の改訂でそこに踏み込み始めたという話。これ、僕にはとても違和感のある話だ。確かに初期のYahoo!に比べればGoogleは人力に頼らずアルゴリズムでできるだけ処理しようという会社だ。けれどもWebページ間のリンクは人間によって作られたものだから、意識的ではないかもしれないが、昔からGoogleはPeopleの助けは借りていたのである。Webページ間のリンクを張る作業は、少なくとも「Like!」とか「+1」というボタンをワンクリックするよりも手間のかかる作業だから、より人間的だとも言える。もちろん時代とともにリンクは自動生成されるようになったが、それはボタンだってやがて同じ事になるだろう。

 

 だから今回の変更はPeopleを意識した解というよりもFriends,あるいはSocialを意識した解ということになるのだと僕は思う。

 

 第2点。ではFriendsなりSocialを意識したSearchというものは本当に有効なのか、という点。対Facebookを重視すれば、Socialと言ってみることは戦略としては間違っていないのかもしれない。でも戦術レベルとしてどうなのか。もう少し根本的な問いとして言い換えると、検索結果をよりRelavantなものとしてパーソナライズ化するのにソーシャルグラフってそんなに有効なのかということだ。そしてその脇に貼られる広告のCTRにとっても有効なのかということだ。

 

 念のため言うと、現段階でのSPYWへの批判に多い、ソーシャルメディアとしてG+だけを採用するのは検索結果として貧弱という議論をここでしようとしているのではない。そうではなくて、仮にFacebookのデータが検索結果に反映された場合にそれはRelavantなのかということだ。

 

僕のFacebookソーシャルグラフは約140名。このうちWebサービス関連の人たちが80名ほど。僕がアーリーアダプターだからどうしてもSNSを始めると最初はこの人達ばかりになる。昨年からだんだん増えてきた中学校、高校、大学、大学院での古典的な友人が40名ほど、職場の同僚などがかつてのものを含めて30名ほど。その他が10名ほどである。

 

 当然一部重複がある。大学院での友人だと専門(Web関連)が近いゆえにWebサービス関連の人たちと重複してくるが、それ以前からの友人は実は関心的には近くはない人が多い。職場もかつてはメディア関連のところにいたが、依然マスメディアに従事している人も多いので、同じ職場にいたからといって関心が近いわけではない。だからざっくり言えば、A:「関心が近い人」が半分強、残りはB:「同じ時間と空間を共にした人」となる。20代の人ならばBの比率がもっと高いかもしれないが、こういう僕のソーシャルグラフは30過ぎのやや大きめの会社務めの人ならば、そんなに特殊ではないのではないか。

 

 というソーシャルグラフが、自分がGoogleで検索した時に反映されると検索結果の精度があがるとは思えないのだ(だからオプションは残して欲しい)。たとえば最近自分は日本のWebを振り返ってモノを書いているが、どちらかというと最新の情報と格闘して仕事をしているA:「関心が近い人」が普段接している情報が検索結果の上位に上がってきてもあまり嬉しくない。仮にA:「関心が近い人」であっても。

 

 じゃあ、たとえば恵比寿でうまい焼き鳥屋はどこかと探すとする。その場合はB:「同じ時間と空間を共にした人」の情報は幾分たよりになるかもしれない。友人が恵比寿の焼き鳥屋の情報をLikeしていれば、たしかにその店に対しての興味は喚起されるだろう。でもそいつの味覚の鋭さまでは覚えていないから「友人知」よりも(話題の)食べログの「集合知」の方を当てにするように思う。汎用検索ではなくて、「食べログ」で検索。仮にあいつは「××に詳しかったな」と覚えていれば直接そのことについてメールかFBのメッセージ機能で問い合わせるだろう。

 

 いまここで挙げた2つの例のうち、僕は圧倒的に前者に類する検索を多用する。というように考えてくると、ソーシャルなメタ情報はアルゴリズムに投入する変数としてはかなりノイズが多いのではないかと思えてくる。もちろんWeb関連の検索キーワードであれば、僕のA:「関心が近い人」のグラフを重視し、焼き鳥屋の検索であれば、A:「関心が近い人」のグラフは軽視されるぐらいの芸当はGoogleならやってくれるようになるだろうけど。そしてそのためのG+のCircleだったりするのだろうが。

 

 でも、どうもソーシャルによるパーソナライズ化というのはピンと来ない。ちなみにソーシャルグラフという性格よりもインタレストグラフの性格が濃い、僕のtwiiterやG+の情報を反映した場合は相対的に検索結果はマシになると僕も思っている。ただし程度問題だとも思っている。またFriendsよりもmeが重視されるのであれば、少し品質はアップするのかもとも考えているが、それってソーシャルなのか、と思う。

 

 2点目については、僕の仕事が特殊だったり、僕の想像力が及んでいない、あるいはGoogleの開発能力を過小評価しすぎという部分が大いにある気もする。ですので、もしよければコメントを残して欲しい。